1990年代に入り、「心の理論」研究は急速な発展を遂げてきた。人はいつ、どのようにして「心の理論」を獲得するのだろうか。「心の理論」の概念は、発達心理学のみならず、精神病理学、霊長類学、哲学など幅広い分野に多大なインパクトを与え続けている。本書は1993年にイギリスで刊行された、総勢32人の研究者たちによる研究論文集の邦訳である。現代の発達心理学の潮流をとらえるために欠かせない基本文献である。
目次
第III部 自閉症の心の理論仮説:批判的視点
第13章 心の理論と自閉症の問題
第14章 自閉症における社会的行動の複雑さ
第15章 自閉症者の発達:心の理論仮説に対する示唆
第IV部 より広範な視点
第16章 人を理解し,心の理論を発達させる際の模倣の役割
第17章 心の理論の進化:人間以外の霊長類における非言語的精神主義の性質
第18章 初期のコミュニケーションと心の理論の比較研究:個体発生,系統発生,病理学
第19章 自閉症と心の理論:哲学的視点
第20章 願望と空想:心の理論と自閉症についての精神分析的な観点
第21章 自閉症における「心の理論」の障害:教育と診断の問題
第22章 思考および心と脳の関係(心の理論と自閉症に関する若干の考察)