1990年代に入り、「心の理論」研究は急速な発展を遂げてきた。人はいつ、どのようにして「心の理論」を獲得するのだろうか。「心の理論」の概念は、発達心理学のみならず、精神病理学、霊長類学、哲学など幅広い分野に多大なインパクトを与え続けている。本書は1993年にイギリスで刊行された、総勢32人の研究者たちによる研究論文集の邦訳である。現代の発達心理学の潮流をとらえるために欠かせない基本文献である。
目次
第I部 序 論
第1章 論争の概略
第2章 初期の心の理解:健常児の場合
第3章 自閉症の社会性の発達:歴史的,臨床的展望
第II部 自閉症の心の理論仮説:認知的アプローチ
第4章 注意-目標心理学から信念-欲求心理学へ:心の理論の発達とその機能不全
第5章 自閉症はメタ表象について何を教えてくれるのか
第6章 自閉症における心の理論の欠損:メタ表象理論再考
第7章 言語は自閉症児の心の理解について何を明らかにするのか
第8章 自閉症における心の理論の欠損:「欺き」からの証拠
第III部 自閉症の心の理論仮説:批判的視点
第9章 自閉症における心の理論とジョイント・アテンションの障害
第10章 人の理解:情動の役割
第11章 ふりと行為のプランニング
第12章 自閉症のナラティブ言語と心の理論仮説:広範な視点