地域金融論

南地伸昭 著
本体価格:2900円
ISBN978-4-8429-1846-4
A5判 / 並製 / 228頁 / 2023-04発行

地域社会との共存共栄を経営理念とする地域金融機関の誕生とその役割、経営特性などを辿り、組織の存続と持続的な成長・発展を考察



社会との共存共栄を経営理念とする地域金融機関は、地域商社や観光事業などにも及ぶ多彩な地域社会の振興活動とともに、多様な社会的・文化的な地域貢献活動にも取り組んでおり、まさに地域社会とともに歩む運命共同体的な存在であるといえよう。地域社会の構造変化の中で経営環境の適応が課題となっている日本の地域金融機関の原型を辿り、地域金融機関が誕生した背景とその役割、存在意義、経営特性などを浮き彫りにすることによって、組織の存続および持続的な成長・発展を可能ならしめる諸要因を探る

目次


序章 本書の目的と構成
 第1節 本書の目的  第2節 本書の構成
第1章 リレーションシップバンキングの原型と地域金融
 第1節 近代的地域銀行の誕生  第2節 初期的銀行業者としての両替商  第3節 国立銀行設立の背景:小銀行主義と地域金融の円滑化  第4節 リレーションシップバンキングの原型  第5節 地域社会との共存共栄を目指す地域銀行
第2章 銀行の役割および業務とその機能
 第1節 経済社会の心臓としての銀行の役割  第2節 銀行の業務  第3節 銀行の機能
第3章 リレーションシップバンキングの理論的サーベイ:地域金融の視点から
 第1節 地域金融の基本としてのリレーションシップバンキング  第2節 銀行の存在意義としてのリレーションシップバンキング  第3節 リレーションシップバンキングと貸出条件  第4節 リレーションシップバンキングとソフト情報  第5節 日本のリレーションシップバンキングと地域金融  第6節 リレーションシップバンキングの論点
第4章 地域金融機関の中小企業金融取引の特徴
 第1節 中小企業金融の特徴としてのリレーションシップバンキング  第2節 貸し手サイドからみた特徴  第3節 借り手サイドからみた特徴  第4節 リレーションシップ取引のメリット  第5節 貸し手と借り手の双方にとってのメリット
第5章 地域金融機関の地域貢献志向の分析
 第1節 経済的行為者および社会的行為者としての地域金融機関  第2節 地域金融機関の経営特性を踏まえた金融行政  第3節 地域金融機関と地域社会の関係  第4節 地域金融機関の地域貢献活動と社会的責任  第5節 地域金融機関の経営特性としての二重性  第6節 分析の視座としてのホモ・エコノミクスおよびホモ・ソシオロジクス
第6章 地域金融機関の地域貢献志向と財務内容の関係
 第1節 地域社会へのコミットメントに伴うソフトバジェット問題の検証  第2節 リレーションシップバンキングのコスト  第3節 地域貢献志向の指標としての有人店舗ネットワークの地元回帰度  第4節 地域金融機関の地域貢献志向と財務内容  第5節 ポジティブ・フィードバック・ループ  第6節 地域貢献活動による財務基盤強化効果
第7章 日本の地方銀行の組織デザイン化戦略にみる環境適応行動
 第1節 地方銀行の経営組織の環境適応  第2節 先行研究にみる地方銀行の役割  第3節 研究の方法  第4節 事例分析の結果:仮説検証  第5節 考察:組織デザイン化戦略の特徴  第6節 さらなる地域社会との共存共栄のために
参考文献 図表一覧 初出一覧 事項索引 人名索引