多くの内憂外患が襲い、増大する公共経費への対応が大きな問題となっていた17世紀イギリス。その状況を反映して租税についての議論も相当数展開された。その中でもその考察方法、体系的・理論的にも抜きん出ていたのがウィリアム・ペティの租税論であった。今日における租税をめぐる多くの議論はペティにその淵源をもち、原型が与えられている。本書は科学としての租税論の出発点をペティに求め、その特質と時代的意義を明らかにし、ペティの租税論の近代租税論に対する先駆性を浮かび上がらせる
目次
序章:イギリス重商主義経済思想の系譜と重商主義
第1章:ペティの生涯と学問的活動
第2章:ペティ租税論の歴史的背景
第3章:イギリス重商主義期の財政収入体系
第4章:ペティ租税論の課題
第5章:ペティ租税論の基礎的視覚―国富の増進―
第6章:ペティ租税論の方法的基礎―「政治算術」―
第7章:公共経費の再検討―租税制度改革の前提―
第8章:税外収入論―「租税国家」の要請―
第9章:租税収入論(1)―基本的原理―
第10章:租税収入論(2)―内国消費税の推奨―
第11章:『賢者一言』における戦時租税論
第12章:ペティにおける租税政策の実践的性格
終章:ペティ租税論の歴史的意義