まつりの危機が叫ばれている。実際に衰滅したまつりも少なくない。行政的にはまつりは無形の民俗文化財として「守る」対象とされてきた。まつりを未来に継続・継承する意義と可能性について、民俗学をはじめとした様々な立場から検討する。各著者は、文化財保護などの行政とも関わりつつそれぞれの立場で地域に寄り添い、担い手とともに活動してきた方々である。できたこと/できなかったこと/感じていること/実践していることなどを、具体例も交えつつ著述、そこにはまつりを守るための重要なヒントが隠されている
目次
1章 「まつり」は守れるか―無形の民俗文化財の保存をめぐって
2章 祭礼の担い手とは誰か―掛川市の三熊野神社大祭を事例として
3章 山・鉾・屋台行事にみる継承とその展望―まつりの心と加勢によるコミュニティの創出
4章 男鹿のナマハゲの継続と復活・再開―ユネスコ登録をめぐって
5章 赤米神事を継承する―精神文化を介した連携と発信、そして還元
6章 近江中山の芋競べ祭り―「保存」と「継承」をめぐる葛藤の記録
7章 敦賀西町の綱引きの休止・再開―行政の取り組みと補助金運用制度の可能性
8章 等覚寺の松会―「綱打ち」の継承に向き合う
9章 因幡の菖蒲綱引きの休止と現状―文化財保護行政にできることとは
10章 指定解除の実際―まつりと無形民俗文化財の葛藤
11章 祭り・芸能の継承への取り組み―地域社会と行政・企業との連携