これまでの地域協働については、地縁組織と市民組織がいかにして協働できるのかといった観点より論じられ、それがコミュニティ政策に反映されてきた。地域機能が企業および行政セクターへと「外部化」されていく中、経済社会学的文脈に基づき「贈与」を考察することにより「地域の限りある資源で対応する地域協働」の意味を明確化する。子ども食堂や学習支援などの事例を通し、「物を通じた価値の移譲」によるコミュニティづくりという視点を打ち出す
目次
1 1980年代までの地域住民組織論とは
- 1-1 地縁組織めぐって―近代化論と文化型論 1-2 都市化をめぐって―ボランタリー・アソシエーション論と地域共同管理論
2 なぜ、いま、地域協働が求められるのか
- 2-1 「阪神淡路大震災」以降、注目される地域協働とは 2-2 「豊かな社会」がもたらす「功罪」―外部化と公共性への無関心 2-3 市民組織が台頭する「予想外の」経済社会的文脈―「民間」主体の活性が引き起こす「市民」ネットワーク 2-4 複合化する社会問題と「内部化」する動き
3「贈与」をめぐる経済社会学―ネットワーク・価値・「物」
- 3-1 経済社会学という「社会の具体性」を問う視座 3-2 なぜ、贈与はネットワークをうみだせるのか 3-3 現代社会における贈与の必要性/重要性
4 「学習支援」を通じた多機関連携とソーシャル・キャピタルの醸成
- 4-1 「新たな公共プロジェクト」と文京ボランティア・市民活動センター 4-2 学習支援における社団Aの設立経緯・活動内容―自立と展開 4-3 CSWによる地域ニーズと「強み」の組み合わせ 4-4 ソーシャル・キャピタルの醸成の一つのあり方
むすびにかえて