刑法及びその上位規範である憲法の規定を解釈して、〈刑法の目的は、刑罰によって人権が不当に侵害されないようにすることである〉という結論を導き、これを基に、条文の文言の日常的語義を重視した解釈をおこない、刑法解釈学上の重要問題について著者の意見を展開する。各章の「課題の設定」において問題を定式化し、「私見の提示」において条文の文言から説き起こして私見を示すようにできる限りつとめる。概説書より実践的で法的思考を養いやすい
目次
第1章:刑法の目的
第2章:刑法の目的と解釈のあり方
第3章:明確性の原則
第4章:実行行為の類型性と危険性
第5章:早過ぎた構成要件実現
第6章:複数の個別行為と結果の発生-特に遅過ぎた構成要件実現について
第7章:間接正犯
第8章:不真正不作為犯の作為義務
第9章:因果関係
第10章:35条による違法性阻却の基準
第11章:正当防衛の趣旨と要件
第12章:複数の反撃行為と正当防衛、過剰防衛
第13章:故意と過失、そして錯誤
第14章:共謀共同正犯
第15章:承継的共同正犯
第16章:離脱による共同正犯関係の解消
第17章:中立的行為による幇助
第18章:胎児性傷害・致死
第19章:殺人罪と自殺関与罪
第20章:傷害罪の「傷害」
第21章:名誉の保護
第22章:財物と財産上の利益
第23章:民法的不法と財産罪
第24章:窃盗罪と不法領得の意思
第25章:詐欺罪と財産上の損害
第26章:244条1項と家庭裁判所により選任された後見人の横領
第27章:取引の相手方と特別背任罪の共同正犯
第28章:被害者に戻す行為と盗品関与罪
第29章:文書の有形偽造
第30章:103条の「罪を犯した者」と「隠避」
第31章:197条1項の「その職務に関し」
判例索引
事項索引