PISA調査が開始されてから20年近く、この調査が各国の教育政策にもたらした影響は大きい。本書は、前著『PISA後の教育をどうとらえるか』に続くものであり、PISA後のドイツ教育改革の特質を学力向上のための改革と位置づけ、その特徴と課題を明らかにするものである。PISA後のコンピテンシー・ベースのカリキュラム改革と授業改革が進行しているが、その動向自体を問い、ポストPISAを見据える。日本とドイツという枠組みを超えた教育の本質的問題、両国に通底する課題に迫り、これからの教育の可能性を探る
目次
はじめに
序章 ドイツにおける学力向上政策と教育方法改革の射程
第1部 カリキュラム改革の動向とドイツ教育学議論の特質
第1章 コンピテンシー志向のカリキュラム改革と授業づくりの意義と課題
第2章 ドイツにおける教育改革と「文化的陶冶」の興隆
第3章 学びの保障から資格付与へ―ベルリンにおける「生産的学習」の変遷を手がかりに―
第2部 学力向上政策の学校教育への影響とその余波
第4章 国家の学校監督と「教育上の自由」の現在―ポスト国民国家時代の公教育の相克―
第5章 コンピテンシーテストに基づく授業開発の方法
第6章 現代ドイツにおける規律と指導のルネサンス
第3部 多様な子どもの学びと育ちに対応する教育方法改革
第7章 コンピテンシー志向の幼児教育改革の意義と課題
第8章 障害者権利条約批准後のインクルーシブ教育政策とインクルーシブ授業
第9章 多様な子どものための個別支援―ドイツの学力向上政策に焦点を合わせて―
終章 ポストPISAの教育のゆくえ―啓蒙の教授学へ―
おわりに
参考文献一覧(欧文文献・資料/和文文献・資料)
事項索引/人名索引