思想の絶対的自由と外部的行為への制約

宮原 均 著
本体価格:3000円
ISBN978-4-8429-1844-0
A5判 / 並製 / 240頁 / 2023-01発行

思想等の内面に支えられた外部的行為への規制がもたらす問題点につき、合衆国最高裁判所の判例法理を中心に考察

思想等の精神の自由は、個人の尊厳の中核として最も尊重されなければならず、その自由には絶対的保障が及ぶとされる。もっとも、その保障の絶対性は、思想等が内面にとどまっていることが前提とされねばならない。他人の生命・身体を傷つけ、社会の安全を害する行為を規制することは一般的に肯定されるが、その規制が内面にもたらす影響は様々で、内面への制限につながる。本書は、思想等の内面に支えられた外部的行為への規制がもたらす問題点について、主として合衆国最高裁判所の判例法理を中心に考察を加える

目次


序章 思想の絶対的自由と外部的行為への規制
 第1節 内面形成の自由と表現物の単純所持規制  第2節 強制的言論
第1章 思想の自由とわいせつ表現の規制
 第1節 わいせつ表現物の単純所持規制と内心の自由の保障  第2節 チャイルド・ポルノの単純所持への規制
第2章 謝罪の強制と言論の自由
 第1節 高校の卒業認定の条件としての謝罪強制  第2節 生徒の表現への修正1条の保障  第3節 強制言論と修正1条  第4節 謝罪の強制と修正1条
第3章 労働組合による会費等の強制徴収と修正1条
 第1節 連邦鉄道労働法とユニオン・ショップ  第2節 統一労組による会費等の強制徴収と公務員の修正1条の権利  第3節 統一労組の支出と強制徴収の範囲及び方法  第4節 アブード事件判決の変更
第4章 信仰を理由とする一般的義務の免除と公益及び第三者への影響
 第1節 ポリス・パワーに基づく自由の制約と一般的義務の免除  第2節 信仰と軍事的義務の免除  第3節 信教の自由と行政内部の事務手続  第4節 信仰と具体的第三者への影響  第5節 信仰への制約と経済活動への影響  第6節 信教の自由の範囲に関する判例法理と議会法律の対立  本章への補論:信教の自由への保障を強める合衆国最高裁
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