人はなぜ戦うのだろうか。祈りとは何なのだろうか。そして、私たちが求める平和とは何なのだろうか。平和を祈る人は多いが、軍人もまた平和を祈る。人間は平和を祈りながら戦争をし、戦争をしながら平和を祈る。本書に掲げた信仰と戦争や軍事に関する5つの議論は、私たち人間すべてに根本的な、矛盾と葛藤である。これらを自分自身を含めたすべての人間の問題として捉え、人間という存在の姿を謙虚に見つめ直すこと。戦争、宗教、人間、平和について考え直すきっかけを提供する
目次
第1章:文化としての宗教と軍事――軍隊のなかの聖職者たち(アメリカ軍の従軍チャプレン)――
第2章:国防と信仰の間――日本軍と自衛隊のなかのキリスト教(陸海軍人伝道と自衛官キリスト教徒)――
第3章:軍人にとっての戦争と信仰――非戦論と軍人へのシンパシー(内村鑑三の軍人観)――
第4章:特攻の死と信仰――クリスチャンの特攻隊員(林市造の手記を読む)――
第5章:戦争体験を咀嚼する信仰――戦艦大和からキリスト教へ(吉田満における信仰と平和)――