2005年9月の総選挙に見る小泉首相の大勝利は、「郵政民営化」を掲げた巧みなメディア戦略によってであろう。そこには、本格的なマニフェスト選挙と期待されながら、不発に終わった感がぬぐいきれない。政治メディアの効果を測るものとして、従来よりいわれる「有権者への争点認知」「評価形成への影響」に「熟慮誘発機能」を加え、国民の知る権利に奉仕するマス・メディアの仕事の理論と実態に迫る
目次
序章:メディア効果研究の現代的課題
1章:争点を学習したいと思わない世論
2章:効果研究は受け手の何を測定してきたか
3章:マスメディアの熟慮誘発機能をどう捉えるか
4章:質的議題設定機能としての熟慮誘発効果
5章:熟慮誘発機能の測定調査─原子力発電是非をテーマにして
終章:「認知させ説得するメディアから」から「問いかけるメディア」力の測定へ